2006/12/24

算数のできる子どもー計算篇(速脳通信 Vol. 0&1)

皆 様こんにちは。私どもは、相南1丁目で小さな学習塾(速脳学習教室)を始めて今年で5年目になります。かねてから作りたいと思っていた教育通信を発行する事になりまし た。お子様の教育に関するウソとホントを、客観的で公平的な立場からにわかりやすく解説していきます。どうぞよろしくお願い致します。

最初の2回は、「算数のできる子どもにする方法」について、計算篇と文章題篇に分けて説明してみることにします。

* 「算数」とは?
算 数って計算して正しい答えを求める勉強でしょ?いいえ、違います。算数とは複雑な問題を整理し解いていく為の技術です。正しい答えは考え方が正しければ自 ずとついてくるもの。あくせく追い求める必要なんかないのです。むしろ、追えば追うほど逃げるもの、と考えてよいと思います。

算数力をつ けるためには大きな柱が二つあります。一つは「計算力」、もう一つは「問題を数式や図に表す能力」です。今回は一つ目の柱「計算力」について取り上げま す。単に計算力といっても実は奧が深いのです。本物の計算力を身につけつけるためには「数の概念」がきちっと形成されていなければなりません。

問 6.3は0.1を何個集めた数ですか。
問 13mm+2cmは何mmですか。
問 0.8平方メートルは何平方センチメートルですか。

上記のような問題は、多くのお子さんにとってはかなり難しいようです。その理由は、数の概念がしっかりと形成され、定着していないからです。


* 「数の概念」とは?
「数の概念」とは、1が10個集まって10になり、 0.1が10個集まって1になり、1000が10個集まると10000になるというような「数のしくみ」を理解する事です。多くの子どもにとってこの概念は意外と難しい事なのです。一見計算力に問題がないように見えても、数の概念が未熟な場合が多々あります。


よくある落とし穴

* 「プリント式○×学習」で安心していませんか?

プリント式○×学習や百マス計算には、実は落とし穴があります。数の概念がしっかりと形成されているお子さんならば、ある段階までは有効な学習方法の一つでしょう。しかし、多くのお子さんは残念ながら、数の概念形成が未熟なまま、ただひたすら計算しているのです。これでは本物の算数力養成にはほど遠いのです。

*正答ばかりを求めていませんか?
算数は思考する道具なのですから、答えが合っているかどうかよりも、算数流の思考する技術が身に付いているかどうかの方がずっと重要な事なのです。しかし、プリント式学習では答えが合っていれば○、間違っていれば×で終わってしまいます。このような指導の下では、思考する技術は身に付きません。

*暗算が得意だと喜んでいませんか?
暗算大好きっ子は赤信号だと思って間違いありません。中学以降の数学には対応できないでしょう。次回、暗算の弊害についてもう少し説明致します。


数の概念を形成するには?

数の概念形成に最も重要な時期は、幼稚園年中以降から小学校低学年くらいの間です。この時期は、現物でも絵でも良いですから、とにかく具体的な物をしっかりと数える体験が最も重要です。「うちの子は100まで数が数えられるの」と嬉しそうに自慢している親御さんがたまにいらっしゃいます。しかし、それは意味も分からず数を暗記しているだけなのです。物の数を数えて理解するという事とは、全く別の事なのです。

できれば10までの数をたくさん数え、「数の足し算」や「数の分離」といった体験を遊びに取り入れるとよいでしょう。例えば、りんごのおもちゃを10個用意して数える。1個のりんごと1個のりんご、合わせていくつ?とクイズを出す。10個になる組み合わせをいろいろと考えてみる。こういった事を楽しみながらやるのがよいと思います。このとき、お勉強的にやってしまうと、逆効果ですから気を付けて下さい。

もし数の概念が形成されないまま、小学校の中高学年になったり中学生になってしまったら、まずは、小学校低学年の計算練習から復習してみてください。ここで重ね重ね注意して頂きたいのは、丸暗記方式にしてはならないことです。丸暗記は丸呑み込みです。そうなると、子供は数の概念を理解しないのに、正答を暗記してしまうのです

数は裏切りません。こちらが熱意をもって適切な練習すれば、必ず成果が上がります。

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次回以降の予告

次回は、算数(と数学)をマスターするために不可欠なもう一つの柱、紙と鉛筆を使って考え、問題を図式化・数式化する能力について説明します。

この能力は、9歳から14歳の間くらいに、ぜひとも身につけてもらいたいものです。さもなければ、中学
以降の数学の勉強を続けていくことはできません。また、社会人になっても単純作業しかできないようになってしまうでしょう。かなり多くの生徒さんが躓いているのが現状ですが、できるだけ多数がこの能力を身につけてもらいたい、そう願って私たちは日々努力しているのです。どうぞ、よろしくおつきあいお願いしたします。

なお、No.3以後は、下記のようなテーマを取り扱う予定です。
  • 子供英語のウソ・ホントー早期英語の是非?
  • 私立中学に我が子を受験させるべきか?
  • 読書感想文の宿題はどうしよう?
  • 読み聞かせは何歳までやったらいいの?
  • お絵描きと図画工作の意外な効能。
これからも、どうぞよろしくお願いします。